メモリ高騰はなぜ?2025年の値上がり原因を解説

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カテゴリ:Windows修正|更新日:2025-12-22 14:50:33

質問

「何故メモリーが急に高騰しだしたのですか?しかも来年には一般向けの販売も辞めるとかなんとかとききました…どうなってしまうのでしょうか?」

ーYahoo知恵袋

2025年、PCメモリの価格が異常なほど高騰しています。特に9月以降、DDR5メモリの価格は2〜3倍以上に跳ね上がり、一部の製品では4倍近くまで値上がりしました。秋葉原のPCパーツショップでは購入制限が行われ、「1人につき〇枚まで」という張り紙が店頭に貼られる異常事態となっています。このメモリ高騰はなぜ起こっているのでしょうか。本記事では、2025年のメモリ価格の高騰原因を徹底的に解説し、今後の見通しと対策についてもご紹介します。

メモリ高騰

メモリ高騰はなぜ?背景と原因を解説

2025年のメモリ高騰は、PC自作ユーザーやゲーマーにとって深刻な問題となっています。PCメモリの価格が短期間で急激に上昇し、パソコンの相場価格全体に大きな影響を与えています。まずは、この異常な価格変動の実態をデータとともに確認していきましょう。

グラフで見る異常な価格変動の実態

価格比較サイトのデータによると、2025年5月まではメモリ価格は比較的安定していました。しかし、6月頃から一部のメモリで値上がりが始まり、10月以降は急激な価格上昇が始まりました。特にDDR5メモリの価格変動は顕著で、2025年9月時点と比べて11月には製品によって2倍から3倍以上に達しています。

例えば、Amazonで販売されているCORSAIRのDDR4-3200MHz 32GB(16GB×2枚)は、2025年9月時点では約9,200円で購入できましたが、12月には28,890円にまで高騰し、約3.1倍もの値上がりとなりました。DDR5メモリはさらに深刻で、DDR5-5600の48GB×2枚組は10月から11月にかけて平均価格が1万7,000円以上上昇しています。

実際のメモリ、SSD、HDDの価格

メモリだけでなく、SSDやHDDの価格も連動して上昇しています。具体的な価格推移を見ていきましょう。

メモリ(DRAM)の価格状況:

  • ①DDR5-5600 32GB×2枚:2025年10月の約27,000円から11月には約30,000円以上に上昇(約12.9%増)
  • ②DDR5-6400 64GB×2枚(CUDIMM):79,780円から113,080円へと約33,300円(41.7%)の値上がり
  • ③DDR4-3200 16GB×2枚:2025年6月まで安定していたが、その後上昇傾向に転じ、11月には大幅な値上がりを記録

SSDの価格状況:

SSD価格も2025年11月から急上昇しています。人気ブランドのCrucialは、12月3日にブランド撤退を発表した影響で駆け込み需要が発生し、容量に関係なく11月から12月で1.5倍以上もアップしました。Samsung 990 PROやSanDisk WD_BLACK SN850Xもすべての容量で価格の上昇が見られます。

HDDの価格状況:

Western Digital WD BlueとSeagate Barracudaの人気8TBモデルも価格が上昇しています。WD Blueは11月に大幅アップし、Barracudaは12月に入って急上昇しました。大容量が求められる生成AIの保存用にHDDの需要が伸びると見られており、今後も価格の上昇は続きそうです。

2025年の高騰推移を徹底分析

2025年のメモリ高騰には明確なタイムラインがあります。時系列で整理すると以下のようになります。

  • 2024年11月〜2025年5月:価格は比較的安定しており、2025年5月前後がメモリ、ストレージの最もお買い得な時期でした。この時期にメモリを購入した人は、結果的に最良のタイミングで購入できたことになります。

  • 2025年6月〜9月:一部のメモリで値上がりが始まりましたが、まだ急激な変動ではありませんでした。DDR4メモリは、大手メモリメーカーがDDR4の生産終了を表明したことで、この時期から上昇傾向に変わりました。

  • 2025年10月:DDR5メモリの価格が急騰を始めました。秋葉原のショップでは、10月1日時点で約14,700円だったDDR5-5600 16GB×2枚セットが、11月初旬には約32,700円前後に上昇しました。

  • 2025年11月〜12月:価格上昇がさらに加速しました。Samsungは2025年11月、メモリの卸売価格を9月と比べて最大60%引き上げました。12月には一部のPCパーツショップで購入制限が実施され、市場の在庫状況がタイトになっていることが明らかになりました。

特に注目すべきは、DDR5総合指数が12月上旬の週間だけで15.48%上昇し、12月6日には単日で7.65%もの急騰を記録したことです。この急激な価格変動は、メモリ市場において前例のない出来事と言えます。

値上がりはなぜ?理由となる3つの要因

メモリ価格が高騰している背景には、複数の構造的な要因が絡み合っています。主な理由は以下の3つです。

AIブームによる生産リソースの「共食い」

メモリ高騰の最大の要因は、世界的なAI需要の拡大です。AIを動かすには大量かつ高性能なメモリが必要となり、メモリメーカー各社は利益率の高いAI向け製品の生産を優先しています。

HBM(High Bandwidth Memory)への生産シフト

AI向けのデータセンターで使用されるHBM(高帯域幅メモリ)は、従来のDDR5メモリと比べて利益率が5倍から10倍以上とも言われています。NVIDIAの強力なAIチップセットに使われるHBMの需要が爆発的に増加しており、Samsung、SK hynix、Micronなどの主要メーカーは、限られた生産能力をHBMの生産に「全振り」し始めました。

重要なポイントは、HBMもDDR5も元は同じシリコンウェーハから作られるDRAMであるということです。つまり、同じ生産ラインを共有しているため、HBMの生産を増やせば増やすほど、一般消費者向けのDDR5やDDR4の生産能力が削られてしまうのです。この現象は「カニバリゼーション(共食い)」と呼ばれています。

ADATAのSimon Chen会長は「30年近くこの業界にいるが、DRAM、NANDフラッシュ(SSD)、そしてHDDまで、これら主要なメモリ・ストレージ製品すべてが同時に不足する事態は見たことがない」と語っており、現在の状況がいかに異常であるかを示しています。

データセンター企業の大量買い付け

OpenAIは「Stargate」プロジェクトにおいて、SamsungやSK hynixと月90万枚のDRAMウェハ供給契約を締結したと報じられています。これは世界のDRAM生産量の約40%に相当する規模です。Google、Microsoft、AWSなどのクラウドサービスプロバイダーも同様に大量のメモリを確保しており、一般消費者向けの供給が圧迫されています。

古い規格(DDR4)の戦略的な生産終了

2025年6月、SK hynix、Samsung、Micronの大手3社がDDR4の生産終了をアナウンスしました。さらに、中国のCXMTまで生産中止という報道が流れ、DDR4の価格が突然高騰しました。

メーカーがDDR4の生産を終了する理由は、DDR5への移行を促進し、より利益率の高い製品に注力するためです。しかし、DDR5への移行が進んでいない多くの既存PCや産業用機器にとって、これは深刻な問題となっています。DDR4の価格は爆発的に高騰する可能性があり、「2年間は品薄が続くだろう」と見られています。

興味深いことに、現在のスポット価格では、旧型のDDR4が1ギガビットあたり約2.10米ドルで取引されており、最先端のHBM3E(約1.70米ドル)やサーバ向けDDR5(約1.50米ドル)よりも高い価格で取引されています。これは通常では考えられない価格逆転現象です。

新しい工場の建設遅れと投資の抑制

メモリメーカーは過去の失敗から慎重になっており、供給を一気に増やすことができません。過去10年、NANDやDRAMのベンダーは過剰投資による価格崩壊を経験してきたため、今回は戦略的に投資を抑制しています。

企業が巨額の投資をしても、製品の供給量が増えて価格が崩壊すると、結果的に投資を回収できなくなってしまうという懸念があります。そのため、メーカーは「ブーム後の在庫過多」を恐れて新規の工場投資に慎重な姿勢を取っているのです。

SK Hynix、Micron、Samsungは2026年から2030年にかけて合計8~10の新規大型ファブ(工場)を立ち上げる計画を発表していますが、これらの工場が実際に稼働して市場に影響を与えるまでには時間がかかります。さらに、FAB製造装置の供給制約も課題となっており、Applied MaterialsやTokyo Electronといった装置メーカーの生産能力が瓶首となっています。

ノート

SK hynixのM15Xファブは2026年から本格的な量産を開始する予定ですが、龍仁(Yongin)ファブがオープンする2027年上半期まで、供給不足は続くと予測されています。

メモリ価格は今後どうなる?2026年の予測と対策

メモリ価格の今後の見通しについて、専門家の予測は悲観的です。現在の価格上昇トレンドは一時的なものではなく、少なくとも2027年まで続く可能性が高いとされています。

主要な予測:

  • ①TrendForceの予測:AIの拡大により、2026年のメモリ価格は最大で20%上昇する可能性があります。DRAM不足は少なくとも2027年の第4四半期(10月〜12月)まで続くと見られています。
  • ②TeamGroupのGM警告:TeamGroupのGerry Chen氏は、2026年前半にはより深刻な事態になると見込んでいます。2025年12月のDRAM契約価格も前月比で100%値上げするメーカーもあると言われています。
  • ③SK hynixの見解:SK hynixは、供給不足がいつまで続くかという具体的な期間への言及を避けていますが、「サプライチェーンが依然として状況に適応しようとしている段階」であり、不足の期間を断定するのは「時期尚早」としています。

一部のアナリストは、DRAMの価格が安定するのは早くとも2027年半ばになると予測しています。これは、新しい工場が稼働し、生産能力が実際に増加するまでには時間がかかるためです。

PC完成品への影響:

メモリ価格の高騰は、完成品のパソコン価格にも直接影響を及ぼします。Business Insiderが報じたDellの内部資料によると、同社は法人向けのDell ProおよびDell MaxシリーズのノートPC・デスクトップPCについて、2025年12月17日以降の注文分から最大30%の値上げを実施しました。

値上げの詳細は搭載メモリ・ストレージ容量によって異なり、32GBメモリ搭載機では約2~3.5万円、最上位の128GBメモリ搭載機では約8~12万円もの値上げになるとのことです。Dell COOのジェフ・クラーク氏は「メモリチップのコストがこれほど速いペースで上昇したことは過去に見たことがない」と語っており、まさに「前例のない」状況が展開されています。

国内メーカーも今後順次パソコン本体の値上げを行う予定を公表しており、実際に2026年1月以降の価格改定が予告されています。

消費者が取るべき対策:

  • パソコンの購入を検討している方は、現行価格での購入が難しくなる前に早めの決断が推奨されます。特に2026年1月上旬までには決断した方が良さそうです。
  • メモリのアップグレードを予定している方も、さらに値上がりする前に必要な容量を確保することを検討すべきです。
  • 価格の調査が今まで以上に重要になります。今の販売価格と、今後予定されている値上げ情報を比べて考える必要があります。
  • ASUSなど一部のメーカーはメモリやストレージを数ヵ月分在庫しており、価格は引き上げつつも製品供給は継続しています。メーカーによって対応が異なるため、複数のブランドを比較検討することが重要です。
重要

現在は、パソコンやメモリを安く買える時期とは言えず、価格が下がる予定は示されていません。近いうちに値下がりする根拠も確認されていないため、必要な場合は早めの購入を検討すべきです。

長期的な展望:

2026年から2030年にかけて、主要メーカーが新規メガFABを2年ごと2個のペースで立ち上げる計画は野心的ですが、計画と完成には大きなギャップがあります。課題は単なる資金ではなく、FAB製造装置の供給制約にあります。

新FAB増設だけではなく、DRAM技術の効率改善も不可欠です。かつて年30%の容量密度向上(単位面積あたりビット数増加)が実現していましたが、現在は10~20%に低下しています。これを回復させるには3D DRAMが切り札となりますが、技術的なハードルは高いままです。

【豆知識】メモリから消えたデータを復元する方法

メモリ価格の高騰により、古いメモリを使い続けたり、中古のメモリを購入したりする方も増えています。そんな中で、万が一メモリ不足やPC不具合によってデータが消えてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、プロフェッショナルなデータ復元ツールをご紹介します。

Tenorshare 4DDiG でデータを復元する

Tenorshare 4DDiGは、高い復元率を誇るデータ復元ソフトウェアです。メモリ不足によるPCトラブルで失われたデータや、誤って削除してしまったファイルを簡単に復元できます。

メモリ高騰の影響でPCのアップグレードが難しい状況でも、Tenorshare 4DDiGがあれば大切なデータを守ることができます。予期せぬデータ損失に備えて、このようなツールを知っておくことは非常に重要です。

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安全なダウンロード

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安全なダウンロード

  • Tenorshare 4DDiG を起動し、削除したファイルが存在するメモリ/HDD/SSDを選択し、スキャンします。

    ハードディスクをスキャン
  • しばらく待つと、メモリから消してしまったファイルが表示されます。復元前に、写真、ビデオ、ムービー、オーディオ、音楽、ドキュメントなどのファイルをダブルクリックすることによりプレビューが可能です。

    ファイルをプレビュー
  • 復元したいファイルを選択し、保存場所を選択します。例えばOneDriveまたはGoogle Driveなどのクラウドディスクに保存することを検討してください。

    ファイルを復元
注意:

保存パスを元の場所を選択すれば、データが上書きして復元できない恐れがあります。

まとめ

2025年のメモリ高騰は、AI需要の爆発的な増加という構造的な要因によって引き起こされています。HBMへの生産シフト、DDR4の戦略的な生産終了、新しい工場建設の遅れという3つの主要因が重なり、前例のない価格上昇を招いています。

メモリ価格は2025年9月と比べて2〜4倍に跳ね上がり、SSD価格も連動して上昇しています。専門家の予測によれば、この状況は少なくとも2027年まで続く可能性が高く、PC本体の価格も30%程度値上がりする見込みです。

消費者としては、「少し待てば安くなる」という従来の常識が通用しない状況であることを認識する必要があります。PCの購入やメモリのアップグレードを検討している方は、さらに値上がりする前に早めの決断が推奨されます。

また、メモリ不足によるPCトラブルでデータが失われた場合に備えて、Tenorshare 4DDiGのような信頼性の高いデータ復元ツールを知っておくことも重要です。4DDiGは1000種類以上のファイル形式に対応し、直感的な操作で誰でも簡単にデータを復元できます。メモリ高騰の時代だからこそ、大切なデータを守るための備えが必要です。

AI技術の進化は私たちの生活を豊かにする一方で、その基盤となるハードウェアのコスト構造全体を押し上げています。この「AIのパラドックス」とも呼ぶべき現象を理解し、適切に対応することが、今後のPC利用において重要になってくるでしょう。

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森川 颯 (編集者)

4DDiGの編集長として、データ復元、ファイル修復、重複ファイルの削除、パーティション管理、あらゆる種類のパソコンの問題に対するエラー修復など、Windows および Mac 関連の問題に対する最適な解決策を提供することに専念しています。

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